アルバイト
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−10月10日− (1/10)
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――運命なんて信じないと、1ヶ月前はそう言った。
今は少し、疑い始めている。
休憩室に来るよう、ルッシュに呼び出されたのは昨日の夜。
何か大切な話があるみたいだったけど、その前に“給料受け渡し”があるのを、小さな悪魔は忘れていたらしい。
「翔太さんと一緒に行くのって、初めてッスね」
「そうだね」
シルバーの細い鎖につけた滴を、私立小学生の定期よろしく首から下げたルッシュ。
……ホント、君には癒されるよ。
前髪の青リンゴもよく似合ってる。
「どのくらい溜まってるの?」
「僕はまだまだッス。えっと……」
顔の前まで砂時計を持ち上げて目を凝らし、「4年と半年ってとこッスかね」と笑った。
確かにスカールの32年と比べると8分の1ほどだけど、それなら俺はもっと“まだまだ”。
アルバイト、だから仕方ないことかもしれないけど。
そう考えた瞬間、俺は今から会う裁判官に、ひとつ頼み事をしようと決意した。
ルッシュが休憩室の扉を押すと、憎ったらしい三つ子ちゃんの巣窟が開けた。
- 73 -―――――――――――――――――
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