オキュパイド・アース
◆17[リスキー・ビスキー](1/1)




日本国コロニーNo.1、【東京】

周辺宙域にも無数の関連コロニーが連なる、この日本国の首都コロニーに隣接し、統合宇宙軍の軍港がある。

以前の呼び名は、国連軌道宇宙軍日本国方面軍、東京港。

そして今は、統合宇宙軍、第3軍総司令部。



そう、この日本国の衛星軌道に展開する軍の母港は、通称【曽ヶ端軍団】の本拠地となったのだ。





周回の「空のある」居住用円筒形コロニーと違い、
機能性と艦船の収容能力を優先したこの軍港は、
無骨な四角形の積み重ねで出来ており、
そのところどころから、輸送艦や駆逐艦の船体の鼻先が見え隠れしていた。



その見え隠れする船体の一つ、
【OUNSF】(Organization United Nations space force)…統合宇宙軍の文字が真新しく輝くも、
船体自体はくたびれた、前時代の輸送艦が、ドッグに鎮座し、改修工事を受けていた。



亜宇宙戦術空母の半分ほどしかない船体。
コンステレーション級フリゲート艦の、三分の二ほどしかない船体。



船の名前は【出雲(いずも)】
日本国方面団の輸送艦で、長年、物資の輸送業務を専門に行って来た船。

その【出雲】は今、統合宇宙軍第3軍…曽ヶ端軍団の旗艦に生まれ変わるべく、
大規模な改修工事を受けていたのである。



輸送区画の大規模改装。

輸送艦【出雲】の最大の能力、存在意義である輸送力を完全に潰し、
輸送区画、つまりカーゴ…積み荷区画を、
巨大なCIC(コンバット・インフォメーション・センター)に作り変え、
総司令部がそこに常駐し、情報収集、情報分析、戦況判断、艦隊指示などの、一連のインテリジェンス業務。
これを旗艦である【出雲】に集約させる事を意図しての改装工事であった。





その、CICに改装途中のカーゴ内。

まだCIC完成にはほど遠く、固定されていない仕切り用の隔壁やコードなどが、
無重力の世界に身を任せ、プカプカと浮いている中、
たくさんの作業員が完成を目指し、作業を行っている。



その作業員の中に混じり、一人の上級士官がぶ厚い書類を手に、
CIC完成までの進捗状況を確認していた。



彼の名は、緑川伸弥。
階級は中佐。

国連軌道宇宙軍当時は、日本国方面団の参謀を務め、
今は第3軍総司令部、総司令官付きの副官である。





続く

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