オキュパイド・アース
◆16[グラビティ・ブースト](1/16)
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『グラビティ・ブースト四日市店』店内
オープン初日とあって、老若男女様々な一般客でごった返している。
サーキットコースは全部で5つ。
初級者用からプロ専用グランプリコースまでを取り揃えた、
近年まれに見る大型スポーツ施設。
巨大な空間に、透明な強化プラスチックで作られたサーキットコース。
それを間近に見れるスタンド兼休憩所に今、カオル達はいる。
全員、貸し出されたグラビティ・ブースト専用の、プロテクタースーツを着て、汗びっしょりだ。
プロテクタースーツとは、
グラビティ・ブーストをプレイする際の、基本的な服装…装備で、
弾力性のある特殊ラバースーツが身体のラインにぴったりとフィットし、
肘や膝、拳などに柔らかな素材のプロテクターがついている。
無重力状態で、人間の身体一つで行うスポーツである為、
プレイヤーが壁に激突したり、プレイヤー同士が激突しても、ケガを起こさない安全な設計となっている。
ショーン「いやああ、暑い暑い」
ミカ「通気性悪いわね、このスーツ」
エレノア「私…バテバテ、もう充分」
カオル「みんな!冷たい飲み物買って来たよ♪」
両手いっぱいにチューブ飲料を抱え、やって来るカオル。
笑顔は笑顔なのだが、何かしら無理をしている様な、ぎこちない笑顔。
だがしかし、カオルのその無理をした笑顔を見て、仲間達は何も言わない。
気遣いもしなければ、突き放したりもしない。
以前の様なカオルとの距離感を保ち、早くカオルがその領域に「戻って来る」事を、願うだけなのだ。
恭香「うわぁ、カオル君…ありがとう♪」
カオル「メリルさんのおごりなんだけどね(笑)」
はにかむカオル。
何とか、カオル自身も、メリルとのわだかまりを捨て、
新しい保護者との関係を構築しようと、努力を始めた様だ。
ヒロノブ「いやはや、さすがに日頃の無重力訓練とは違う」
カスミ「これほど全身を使うとは思わなかった」
エレノア「これでもまだ、初心者コースよ…」
ショーン「そうだ!
休憩が終わったら、今度は中級者コースで、
チーム組んで、タイムアタックやろうぜ」
ミカ「ひいい…」
続く
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