オキュパイド・アース
◆12[統合宇宙軍誕生](1/16)




年が明けた2416年早々…


国民投票で「四季」を選択した、日本国の各コロニーでは、1日の最高気温を5度に設定し、
人工的な「冬」の環境を作り出している。

1月も半ばを過ぎ、1年で一番寒さの厳しい時期。



公共施設や公共エリアの壁面には、プロジェクターで、「辺り一面銀世界」を投影し、
天井のスカイモニターは、太陽すら手に届かない程の、どんよりとした、分厚い雲に覆われた空を投影していた。



ここ、日本国が所有するコロニーの3番目、通称コロニー3【中京】。

他の地球環境型の円筒形コロニーとは全く別のコンセプトである、
工業生産の主要基地として作り上げられた、ドーナツ型コロニーを、
15基もつなぎ合わせた、「重ねたパンケーキ」の様な姿のコロニーでも、

今日は全ての業務や工場生産を中止して、喪に伏す世界に歩調を合わせていた。





【地球奪還作戦、合同戦没者慰霊祭】





さかのぼる事、約3週間前。

新たな年に変わる直前の12月24日のクリスマス。

人類は、今現在の地球の所有者に対して宣戦布告。
地球奪還作戦を開始して、その初戦である「南極大陸攻略戦」を行い、
木っ端みじんに打ち砕かれた。

惨敗も惨敗…二度と立ち上がれない程に、叩きのめされてしまったのだ。



膨大な被害、投入した最新鋭兵器はほとんど失われ、
地球の支配者である【物体E】に対して、
戦略の根幹から変更を強いられる事となる。


だが、スピードはともかくとして、
兵器等の機械類は生産さえすれば、直ぐに充足する。
目標数値さえ設定すれば、官民一体の工業生産で、いくらでも作って並べる事は出来る。


物量は補う事が出来るのだが、もっと深刻な事態に、
人類は今現在、直面している。



【人材不足】



先の南極大陸攻略戦で戦死したのは、
実働部隊の兵士達だけでは無い。

多くの将官…

佐官クラス以上の指揮官にも、多大な戦死者を出したのだ。



人的資源の枯渇

現場指揮官にとどまらず、参謀・作戦立案者や、司令部要員までに、その多大な被害はおよび、

当面の人類側の深刻な問題としは、
空洞化した組織をどう立て直すのか…



全てはそこにかかっていた。





合同戦没者慰霊祭

全世界同時中継で、今しめやかに、国連軌道宇宙軍の統合幕僚本部で始まった。





続く

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