オキュパイド・アース
◆1[プロローグ](1/13)




身体を突き刺すほどに熱く、それでいて清々しい日差し。

穏やかに波打ちながらエメラルド色に輝き、見る者を安らぎへと誘う、広大に広がる海。

そして、母なる海から「ちょこん」と頭を出した、とんがり頭の島。





一見すればこの光景…

赤道直下の豊かな海に浮かぶ、大自然に囲まれた小島。

のどかで穏やかで、尚且つ南国の爽快感を醸し出している赴きがあるが、
そうも言っていられない状況が、【そこ】で起きていた。





ぐるりと一周するのに一時間もかからない小さな島。

うっそうと茂る樹木に覆われた、横から見ると気持ち良いほどに三角形に見える島。

その島のあちこちから、耳をつんざく様なけたたましい音を伴い、
無数の黒煙が天に向かって立ち上っているのだ。


ドォン!ドォン!と地響きを立て、鳴り止まぬ破裂音。

パパパッ!パパパッ!と空気を振動させる、無数の炸裂音。



そう、この島では今、
戦闘が行われていたのだ。

海岸線に何隻もの強襲揚陸艇を【降下】させ、
バラバラと波打ちながら内陸の森へ向かって行く、無数の海兵隊の兵士達。

その強襲揚陸艇の船体や、兵士達の強化装甲服の腕章には、
【UNOSF】
(国連軌道宇宙軍)と、表示されている。





バンドール中尉「前進するぞ!前進だっ!!
先行しているポーリッシュ強行偵察小隊に合流するぞ!」



海岸線から森に向かう海兵隊…宇宙海兵部隊に向けて、
部隊長であるバンドール中尉から、大声で命令が下る。

すかさず中尉の傍らにいるユフレヒト曹長が、
中尉の号令に追従する形で、兵士達に荒っぽい言葉を投げかけ、
迅速な行動を促し始めた。



ユフレヒト曹長「バカ野郎!中尉が前進って言ったら前進だっ!!
森に突入しろ!怖じ気づいてんじゃねえ!
弱虫野郎はケツの穴に俺がキスしてやる!」



曹長の怒号とも言える号令に背中を押され、
超近代装備を鈍く輝かせたの兵士達が、続々と森の中へ突入して行く。



ユフレヒト曹長「おらおら、早く行け!
レッツ、ムーヴ!レッツ、ムーヴ!
高空から下降して来る戦車隊に場所を空けろ!!」



我を忘れたかの様な凶相で、森の中へ全力疾走で消えて行く兵士達。

無情にもその先々で早速、盛大に湧き上がる爆発と炎上。
その一つ一つは間違い無く、兵士達の生命に直接関係していた。





続く

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