マジック・ワールド
[それぞれの思い](15/15)
日はすでに昇りきっていた。

お願い間に合って



ガラガラッと扉が開く音が竜舎に響く。

!」「リランちゃん!」

「シド……?」

私はドラゴンの名を呼ぶ。でも反応がない。


「シド!?」


近くに駆け寄り、何度も呼んだ。体の熱はまだ残ってる。
それなのに声すら返してくれない。



「お願い口を開けて、シド。絶対に助けるって言ったでしょ?………だから!」


『リラン


「!」「シド!」「お前まだ意識が



俺は信じよ。』



シドがわずかに口を開けたのを見逃さなかった。

私は薬をシドの口に流し込む。



お願い、スズ草。
私たちと一緒にシドを助けて。



その瞬間。





「こ、これは!?」「なんだ!?」

「シドの体が光ってる?」



シドの体全体が輝き出した。
スズ草の花と同じ黄金色に。


でも、変化はそれだけじゃない。病で免疫機能がかなり低下してたことで体の鱗(うろこ)もボロボロになっていた。
なのに今はかなりの速さで回復している。



そして




リラン?』




彼は目を覚まし、立ち上がった。

ドラゴン病に勝ったんだ!




シド!!!」



久しぶりに元気な姿を見ることができて、自然と涙が溢れてきた。


「良かったシド。」

『ありがとう、リラン。それにハヤトとジャックも心配かけたな。』


2人にはシドの声は分からない。でも、2人ともシドの思いを感じ取っていた。


大丈夫だ。お前が元気になってくれればそれでいい。」

「心配なんてかけたのは俺たちの方だ、シド。今までごめんな。もう1人にはしないから。」



みんなでシドに抱きついて泣いた。



奇跡はこの日、確かに起こったのだった。









- 97 -

前n[*][#]次n
/535 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]