マジック・ワールド
[つなぐために](13/13)

世界には幻といわれるほど、希少な動物や植物が存在する。


スズ草もまたその部類に入る薬草だ。


生息地や正確な効能なども全く分かっていない。
だが、ひとつだけ確認されていることがある。


どんな難病であっても絶対に治すことができる万能薬であるということだ。


「スズ草なんてこんな場所にあるわけないだろ?だいたい、あれは幻でここ数十年発見されてもいないじゃないか。」

隼人さんは青ざめた顔で夏井さんを見る。



「今は解熱剤や他の薬でなんとか進行は食い止めることができる。だが、それも時間の問題だ。

ドラゴン病は時間が経過すればするほど強さを増す。他の薬をすぐに分解して無毒化してしまうからな。

だから、もうスズ草に頼るしかないのだ。」



提案した夏井さんも、これしかないと言う。


なら。


「夏井さん、薬で持ちこたえることができるんですよね?どのくらいいけますか?」

「長くて1週間だなそれ以上経つと作った薬も効かなくなる。」


「分かりました。」
「え、まさかリランちゃん本気で探す気?」


私は隼人さんをにらむ。


「ここであーだこーだ言ってても何も変わりません!
これは私たちに残された最後の希望ですよ?
なら、私は絶対に探します。
シドを本気で救いたいから。」

「ハヤト、後輩に負けていいのか?」

私と夏井さんの言葉に感化されてようやく隼人さんも我に返った。

よし、やろう!とことん探してやる!」



こうして私たちは長い戦いの幕を開けた。





命をつなぐ戦いを。










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