マジック・ワールド
[互いの過去](17/17)
「ねえ、シド。どうしてそんなに怖がってたの?」

『どうしてそう思ったんだ?』

シドは目をそらさない。私をしっかり見ている。

「さっきの叫び声を聞いたから。ひどく絶望しているように感じた。」

。』

突然、シドが黙ってしまった。私は慌てて声をかける。

「言いたくなかったらそれでいいよ。あなたが無理してまで聞きたいとは思ってないから。」

すまない。』

シドはなぜか謝ってきた。

どうして謝るの?」


『俺はリラン、お前を信じていいか分からないんだ。信じた相手が俺の前から消えてしまうんじゃないかって思うとこ、怖くて


これがシドが抱えているもの。

きっと今の私には聞いていい権利はない。だってまだ会ったばかりだもの。


私は傷だらけのシドの体に抱きついた。

『!』

「シド。まだ私のこと信じなくていい。過去に何があったかは私に知らせる必要もない。でも、1つだけ言わせて。

私は、あなたを1人にしないから。」


『どうしてそこまで?俺の世話係になったからか?』


それだけじゃない。私がそうしたいから。私の意思で決めたことだから。

ねえ、シド。私にもね、苦しかった過去があるよ。でも、向き合うって決めることができた。弱気になることもあるけど立ち向かってる。シドもそうでしょ?」

『!』

「シドの目を見て思ったんだ。まだ諦めてないって。まだ戦う意思が残ってるって。」

『リラン

シドは私に顔を寄せてきた。私はシドをなでてあげた。

「一緒なら怖さは減るでしょ?

だから一緒に過去を乗り越えよう。」



そうすればきっと強くなれる。一緒なら、きっと。




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