マジック・ワールド
[天空の祭典](1/9)
貴族の手を払ったことがウワサになり、再び嫌がらせが増加してしまった。まあ、そうなるよね。貴族になんか逆らえば、こうなることくらい承知の上で振ったんだから。
それから何日かしてのこと。授業も終わって自室で本を読んでたとき、机に置いてあった連絡用の水晶が光り出した。
「!」
私は急いでそれに手をかざした。
相手は…私の数少ない友達だ。
「お、やっと繋がった!」「もう、どれだけ時間かかってるのよ!」
2人のもめ合いが聞こえてくる。この感じ久しぶり。
「よお、元気にしてたか、リラン?」「今日、学校から連絡用の水晶がやーっと配布されたからリランに連絡してみよってなったの!」
「ふふ。久しぶり、ハル、咲希。」
男の子は飛龍 春樹(ひりゅう はるき)。隣の女の子は潮田 咲希(しおた さき)。私の幼馴染で唯一の理解者でもある。
彼らは地元の高等魔法学校に通っている。私も中等魔法学校まで2人と一緒に通ってた。進路を決める際、学校側の猛烈な推薦と私の強い意思が一致したことで私は1人遠い国立の高等魔法学園に飛んだ。
地元からひどく遠い街に行くと言ったとき、2人とも「行ってこい!!」と言って背中を押してくれたっけ。
「まだ、設定の仕方がイマイチだから映りが悪かったらすまん。」
「大丈夫。きれいに映ってるから。」
「リランはいいなー。学園だもんなー。」
「なあ、学園はどうだ?うまくいってるか?」
「まあ、頑張ってはいるんだけどね…。」
私があいまいな答え方をしたから、2人の表情が曇った。
「また、無茶してるのか?」
「そんなことないよ。」
「そう言って今、つらいんじゃないの?」
2人は私の心の状態をすぐにあてちゃうんだから。
「…うん。つらいよ。ごく限られた先生にしか頼れないから。」
「友達は?いないのか?」
「いないよ。魔法が使えないから嫌がらせしてくる人が多くて。でも、今はだいぶ落ち着いてるから。」
2人は顔を見合わせてから私に語りかけた。
「いつでも連絡しろよ。スタンバイしておくから。」「愚痴くらいなら聞くからね。あと、ダメならすぐに帰っておいでよ。」
2人の優しさを感じながら、水晶に向かって私は笑った。
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