マジック・ワールド
[人との関わり](6/6)
私は差し出された手をジッと見つめた。
「わたくしの友達になればもう嫌がらせは完璧になくなりますわ。それに、貴族の配下に入るのですから十分、かわいがってあげますわ!」
頭の中に私を案内してくれた人の表情と内面を思い出す。あんな風にこき使われるより、私は…
パンっと音を立てて私は手を払った。
「!?」「な、なんてこと!」「あなた、自分がしたことをお分かり!?」「第2級貴族様を敵にまわすのと同じことよ!」
仲間たちがギャーギャーとわめく。林堂さんもポカンとしている。きっと今までの人生で“断る人”なんていなかったんだろうな。自分の思い通りになる生き方をしてきたから。
私とは真逆だ。と、思う。
私はどれだけあがいても思い通りにならなかった。今だってそうだ。学力は伸びても、魔法は発動しない。それがどれだけ苦痛か誰にも分かるわけない。ましては貴族なんかに同情されたくない。だから、手を払ったんだ。
「…なぜ、手を取らない?」
背を向けて歩き出そうとした時、林堂さんが声をかけてきた。か弱い声だ。
「誰かに自由を奪われるくらいならこのままでいい。本当に私と友達になりたいのなら魔法と権力だけで従わせようとしないと誓うことですね、林堂さん。」
それだけ言い残して私はその場を立ち去った。
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