マジック・ワールド
[人との関わり](2/6)
きっと、学園長がやったんだと理解する。

あのとき「手を打った」って言ってたのは本当だったんだ。

「で、今日はどんな用事?」

カギを締めながら花月先生は話す。

「また文献探しです。」

「こりないね〜。薫先生に話したら驚かれたよ。なんせ学園の勉強についていけてる一年生は少ないからね。」

桐崎 薫(きりさき かおる)先生は私の担任の先生。
入学当初から私のサポートをしてくれた。魔水晶を手にできなかった私に真っ先に声をかけてくれて。慣れない場所でひどく落ち込んでたから、本当に助かったって思ってる。だから私の信頼できる先生の1人でもある。(もちろん、花月先生も。)

「え?ついていけてないってどういうこと?」


聞いたことない話に興味を持つ。


「筆記科目は君の得意分野だから知らないか。近年、ズルして入学する生徒が多いんだ。国立大学直属の高等魔法学園だから地位の欲しさゆえ、基準偏差値より低い学力の人がやってくるんだよ。何か裏で動いているんだろうね。」


『そんなやつにボロカス言われる筋合い、リランにはないよ!』


ミリアは私に話しかけてくる。でも、そういうやつほど貴族の身分だったりするんだよね。


(確かにね。でも私は反論しないよ。今は実戦のほうで負けてるしね。)


ミリアに心の声を飛ばす。これまた便利な能力で、思念を飛ばすことができるんだ〜!まあ、かなり集中してないと他の人に声が届いちゃうことがたまにあるけど

「天宮さんは学力があるから通知は届いてないはずだ。まあ、そういうやつらは最近、放課後の補習に出なきゃいけないんだ。」

それは大変だ

「で、どんな文献を探してるんだ?また手伝うぞ?」

先生はここの図書室を担当してくれているけど、あまりの多さに整理が間に合っていない。それに、利用する生徒も少ないからほこりまみれ。それでも古い文献が多いから私からすれば宝の山!

「えっと、伝承とか言い伝えが載っている資料がいいんですけど

「また、マニアックなとこに目を付けるな。よし、探そう。だいたいこの本棚にあるはずだ。」


……こうして、探すこと約2時間。


「これでいいのか?」


私たちが探し当てたのはかなり年季の入った本。内容は見てないがおそらくこの図書室で一番古い文献のはず。

「はい。手伝ってくれてありがとうございました。」

お礼を言うと、ほこりまみれの先生は笑った。

「これくらい平気さ。また、寄って内容を聞かせてくれ。」


私はしっかりその約束を守ると伝えて自室に戻った。












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