マジック・ワールド
[人との関わり](1/6)
「だったらこっちの方がいいでしょ?」
『それじゃあ、ここに無駄が出ちゃうよ?』
学園長から話を聞いて、一週間。生活自体は一ヶ月を過ぎようとしていた。まだ、選ばれし者だという自覚はない。でも最近、リフィの意思を強く感じる時がある。それもはっきり自分で認識できるほど。
私とミリアの関係は相変わらずで今は魔法式の構築について言い合っていた。高等部で学ぶ範囲ではないが個人的に学習を進めていて《面白い》と思ったから深く追求してみることにしたんだ。
ミリアにも魔法の知識がある…というより魔法を使う感覚を知っているから、聞いてて頭でイメージしやすいんだ。
『でも、どうしてコレをやろうと思ったの?』
ミリアは私の肩に止まる。
「今は使えなくてもいつか必ず使うから。言ったでしょ?できる限りのことはするって。」
今はこれくらいのことしかできない。でもやらないよりマシだ…と思いたい。
本当のところ、何から手をつけたらいいのか分からない。リフィについてや選ばれし者について私は…無知過ぎる。
…文献なんて残ってなさそうだし。…あ!
『どうしたのよ?急に大きい声を出して。』
「あそこならあるかも!!」
…と、いうわけで私が向かったのは第2図書室。私がよく嫌がらせから避難するために駆け込む場所でもある。
扉を開けると花月先生がいつもの場所に座ってた。
「こんにちは、花月先生。」
「お、天宮さん。いらっしゃい。」
花月風都(かげつ ふうと)先生は学園の非常任講師。見た目は若そうに見えるけど実年齢は40歳。私の事情を知って、毎回避難するたびに図書室の鍵をかけてくれる。…優しい先生です。
「今日は追われたわけじゃなさそうだね。」
「最近、嫌がらせが少なくなった気がします。」
「…さあ、なんでかな?」
先生の口調から誰かが何かをしたことは分かった。
……まあ、心当たりはあるんどけど、ね。
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