オカルト部奇談〜開化の書〜
[開化](1/18)




1時間後……現在に至る……







アハハハハハハハハハ!!』



真っ赤な空間にポツンと1人の人影が見える…


それは狂ったように笑い…


紫色の光がチラチラと見える…



『楽園!!私だけの楽園!!アハハハハハハハハハ!!』



紫色のドレスに身を包み血に汚れた両手で、人の形をした黒い何かと社交ダンスをしていた。




「向かえに来たよ、ペオラ!」


『ペオラ!ペオラ!』




少女の姿に変形したアイと共にペオラを呼び戻そうと声を掛けた……



……………また邪魔しに来たの?』



パチッン!



ペオラが指を鳴らした瞬間



アイの背後に人の形をした黒い物体が音も気配もなく現れ、アイに覆い被さった…



『!!ホムラ……』


「アイ!戻って!アイィー!」



黒い物体は鳥籠のような形へと変形し床へ沈んでいった…


アイとの繋がりが切れ、右手を失い死を待つだけかと思いきや…


何かが違っていた……



「なんで…右手がもとに…」



アイと私は一心同体……どちら死ねば片方も死ぬ筈なのに…


右手が失う前の腕に戻り…


私の中から完全にアイが切り離されてしまった。



『邪魔なので、この世界から退場させてもらいました。』



「アイは……無事なんでしようね?それとペオラも……」



『ウフフ………』



「何がおかしい?」



『アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!貴方の一部の心配はともかく私の心配までするなんて、殺したいわ……貴方の首をぬいぐるみの胴体とくっつけたいぐらい!』



頭のネジが全部外れたペオラの両手から黒い剣と紫の剣が出現し目に求まらぬ早さで襲いかかる……



「!?」



すかさず腰にぶら下げた刀を鞘から抜きガードするが……



ボンッ!!



あまりの威力に体が浮かび上がり50mぐらい吹き飛ばされた……


なんとか受け身をとるが……



「なんて力……それに加えての一撃の重さ……」



普段では耐えられる攻撃だが……今回に限っては……なにか変だ……




『決めた!今日は人骨の出汁を使ったヒューマン死チュウにしましょう。』




絶対食いたくない……とツッコミをする暇もなく


ペオラが攻めてくる……


バレリーナのようにクルクル回転しながら二つの剣の乱舞が牙を剥く。




ガン!!



こちらの最初の振りかぶっての大きな一撃が意図も簡単に弾かれる……ならば……



ズバッ!!



下から振り上げ……


飛び上がり真上から刀を振り下ろした……



ガガガガガガガガガ!!!!



激しい金属音と火花をあげながら剣同士がぶつかる



目の力で追い込みをかけようといつものように発動する………しかし…



「ち、力が…入らない。」



何故か視界が赤く染まらず『強気人』が発動せず、そのまま刀は手から弾かれ…



バッサリ!!



ペオラの剣の斬撃が私の左腕を大きく切り裂き…


激しい血渋きをあげながら再び吹き飛ばされた……




「はぁ………はぁ………」



『良い!良いわ!!その絶望の中にまだ光りが残っている顔!!光を失った時に浮かぶ絶望に満ちた表情早く見たいわ!』




どういう訳か……再生も出来ない……



これは……左腕の神経完全にやられている……



左腕から大量に出血するばかりで痛みが全然ない……




これを幸運か不運か……どちらにせよ左腕はもう使えない……




それどころか、『強気人』も使えなくなり再生能力も失い……完全に人間だった頃に戻っている……




「人間に戻れるなんて………」




重傷を負った私をペオラは高らかに笑い…


二本の剣をブンブン振り回しながら踊っていた。



『ねぇ?今どんな気持ち?』



「…………」



『白蛇の娘が居なければ、お前は只の無力な小娘…』



「…………」



『私を助けにここまで来たのに、その本人に殺されることになるなんてねぇ〜』



「……………」



『さぁ〜私にその絶望に染まりきった顔を見せてよ!!その後でお前の体の中身ぜーんぶ綺麗に取りの沿いで剥製にして一生私とこの楽園で踊り続けましょ?』





ペオラの持っている二本の剣の柄の部分が合体し……



裁縫で使う鋏を模した巨大な裁鋏へと姿を変え、それを手に私のもとへ近づいていくる……



さっきペオラが………いや…が言っていたが…



ー白蛇の娘が居なければ、お前は只の無力な小娘



だって言っていたけど…



決定的に違う所が幾つも有りすぎて『ボケ担当』の私が『ツッコミ担当』になるなんて…




シャキン!!シャキン!!



シャキシャキン!!




奴が右手で顎をくいっと上げ不気味に笑いながら私の顔を覗こう近づく…



『さぁ〜私に絶望を……』



「ふざけるのも大概にしろよ?クソビ○チ……」



『!!?』



奴が望まない『希望』丸出しの満面な笑顔で答えると……



ボカン!!



奴の顔面をグーパンチで思いっきり殴った。



その隙に刀を取りに行き、刀を手にすると悶絶している奴の元へ走り込み刃を突き立てた…



ギン!!



奴は左手で鼻を覆い、右手で裁鋏を使い私の斬撃を防いだ…



『不意打ちとは……小賢しい。』



「違うだろうが……」



『違う?何が違うと言うの……』



奴の裁鋏を払い、顔面ががら空きになった所を見逃さず、もう一発左手で顔面にグーパンチを食らわせた。



顔面が奴の鼻血と私の血でトマト見たく真っ赤に染まる……



「語尾に『〜かな』がついて無いじゃない!!!!」



刀を無造作の一振りを繰り出し、また防がれるが……



『一体なんなのよ!!』



「その発達した乳は何だ!!いつもはAの癖に大きく見せようとパット使ってCを作りだしているのに!」



ギン!!



ガン!!




『何が言いたいのよ!』



「何だ!!そのセクシーな紫のドレス!普段はセーラー服にボロッボロのコートしか着ないのに、今さらイメチェンか?このクソビ○チが!!」



『クソビ○チって……私のこと?』





ガガガガ!!



ギン!!



ギン!!




「他に誰がいるんだ!!お前が語尾に『かな』をつけないなら私が言ってやるかな!」



『なんで……そんな笑顔でいられるの?なんで絶望しないの……こんなのおかしいィィいよ!!!!』




激しい連撃を隻腕の私が的確に刀で防御を含めながら攻めていく……



奴はペオラではない……『紫ビ○チ』だ……



私がペオラと共に過ごし彼女の弱点はほとんど知り尽くしている……



ここが深層心理の世界なら、この痛々しい罵倒が何らかの影響を及ぼすには丁度良かった。




「それと自身の兄のことを今でも『お兄ちゃん』って呼ぶとは、ブラコンが過ぎるだろうかな!どこかの妹系アニメしか聞かないかな。」



『や、止めろ!!止めろ!!』




罵倒で緩んだ所をすかさず刀で攻め続けた……



「怪異事件で会う女性達の体を見て瞬時に自分の3サイズと比べて露骨にガッカリするクセ止めろかな!」



「こんな世界だから何でもありなんだろうかな……私は知っているかな……そのAの乳をどうすればCかDを現実にするためにフォーカスに…」



「『私のとある部分の発育が進行しない未来を改変してかな』って頼みに行って当然のように断られたかな……」



「次はモダンに頼みに行ったかな……『私のこの貧相な胸を豪邸する魔法薬を作ってほしいかな』って……それで出来た魔法薬飲んだら子供の時の姿に戻ってしまったことを……」



「後、彼氏欲しさに『男性の気を確実に引ける』っていうタイトルの本買って丸暗記した上で、とある男子にコクったらそいつゲイで『僕は君より小林くんの方がすきなのぉ!!』って言われて玉砕したところ、私は見ていたかな!!全部かな!!」




『うるさい……うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさぁーーい!!!!』




奴から黒いドロドロした液体が浮かび上がり、それがペオラ本人にまとわりついていたのだ……



裁鋏のギロチンをかわし背後に回り込んでペオラ本人を掴み一気に引き剥がそうとした瞬間




ズンッ!!




バシュンッ!!!!




ペオラを掴む右手がドロドロのスライム状手で持った裁鋏によって切断されてしまった……



「ペオラァアアア!!!!」



『惜しかったな小娘よ……』



スライム状の触手が足に巻き付き私を引き剥がすと、地面に思い切り叩き着けた……



全身が痛い……



背骨も逝ったな……



だけど……突破口は見えた……



両腕を失った私は刀の柄を口に加え……



その状態で走り出した。



『それで何が出来るというの!!もう良い……串刺しにしてやる!!』



紫の槍がこちらへ飛んでくる……



左に……右に……上に……下からくぐり抜け



飛んでくる槍を回避する。




タッ!!タッ!!タッ!!




槍の上を階段のようにかけあがり、体に回転を加えスクリュードライバーで奴の頭上を急降下する




シャキン!!シャキン!!シャキン!!




私の右腕を奪った裁鋏が行く手を阻むが……




パキッン!!!!




スクリュードライバーによって巨大裁鋏を完全に粉砕し……そのまま奴の体目掛けて……





ズバッ!!



ズババッ!!



バッサリ!!





奴の触手もろとも肉体を切り裂き……




紫のドロドロの液体に包まれたペオラが剥き出しになった。




私は刀を口から外し、ペオラの服を噛んでドロドロから再び引き剥がそうと引っこ抜く……



















「私を呼ぶ声が聞こえるかな……」



全てが崩壊した世界から……どこからか声が聞こえる……



その声がする方へ……駆け出す……



「誰?誰かな!!」



そこへ一筋の光が差し込む……



小さく今にも消えてしまいそうな程だけど…



一際強い光を放っていた




「帰らないといけないかな。」




その声は……




「ホムラ……ホムラ!!」




私の初めての……




「ペオラ!!」




「ホムラ!!」




親友のものだった。























パチッ……



目を覚ますとホムラが涙を浮かべて私に抱き付いて来た……


「ペオラ!!………良かった…本当に…」


「ただいま…ホムラ……こんなになってまで私を……」


ホムラは右腕を失い……左腕が使い物にならないぐらいボロボロの重体だった……



その元凶は……




『畜生ォオオオ!!』



私の中に潜む『闇』であった。



私自身、選択出来ずに自らの死を選んだ産物があの『闇』だ……



「ホムラ……私……今を生きるかな」



周りが赤く染まりきり……



円卓の騎士に登場する……



聖剣を創造させた……



今までの80%の再現とは別格の……




150%の創造……完璧のその先の再現かな。




金の光沢が眩しく光輝き……



その聖剣を高らかと上に上げ……




そして……



エクスカリバー
「約束された勝利の剣!!」



振り下ろした巨大な光の剣は……



『闇』とこの空間まで切り裂きガラスのように砕け散った。




『ウギャアアアア!!!!!!





私は親友であるホムラに救われ……



今の自分を生きる道を選択し……



魔導は自然と使えなくなっていた。




「ありがとうホムラ………」




「そしてさよなら……お兄ちゃん。」




ここで初めて私の物語がスタートするかな。



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