オカルト部奇談〜開化の書〜
[記録媒体](1/2)
僕がこれまで観察してきた物語の数は世界中にある全ての本と同じ数…
適当じゃないかって?
いいや…
僕は全て覚えている…
物語の全てが鮮明に記憶され…まるで図書館みたいに振り返ることも出来る…
『何でも知っている知らないことは何一つない。』
そうでなければ観察者なんて名乗れない。
とある物語…
また1つ物語が終わり、始まろうとしていた。
『ふざけるな!こんな…こんなの認めるわけないだろ!?』
怪異に蹂躙された世界で彼は怪異でありながらも人間を愛していた。
しかし世界は全ての怪異を敵とみなし抹殺対象とする…
だが彼女はそんな世界を否定し…誰よりも怪異との共存を強く望み……
それを良しとしない人々によって希望は打ち砕かれ……
彼女は死に……怪異の彼だけが残ってしまった。
「どんな願いでも叶えてあげる…ただし大切なものを1つ代償にするけどね。」
『○○を救えるなら……○○を生き返らせてくれ……代償はなんでも払う!』
彼は彼女を生き返らせ……
同時に彼は怪異として存在が消えていく。
彼女が目を覚ますと…
「わ、私は……」
『○○……』
彼は彼女の名前を呼び…目を赤く染め上げる。
「何する気なんだよ……!全部……終わったんじゃないのかよ!」
『………まだ、やり残したことがある……』
彼が消滅する寸前……
彼は怪異として最後の役割を果たし……
消滅した。
彼は……自身の物語をねじ曲げ……彼が望まない現実を反対の現実にし……
世界から彼を知る者は誰もいなくなった。
彼が願いの代償にしたのは……
「怪異の肉体」
彼は怪異ではなくなり……人間として生きる道を歩み始める。
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