オカルト部奇談〜開化の書〜
[贖罪](1/8)
xxxx年 x月





目を覚ますと、そこは私の寝室だった……





「…………雨か…」




外はどしゃ降り………まるで台風でもきたかのように外は荒れていた。



スタンドの灯りをつけると1枚の置き書きがある…



それを手に取り読んで見た………




ーーおはようごさいます。


ーー少しの間買い物に行って来きます朝食は作ってあるので先に召し上がってください。


ーーツァイト ワンダー





「…………ワンダー…」




そうだ…ノワールの孫で私が養子として預かっているだった…




しかし………変な感覚だ…




私は確かアメリカで歴史の改変をした最中だったはず…




その後のことを全く思いだせない………




思いだそうとする度にに違和感を覚える。




一体あの後何が…






とりあえずダイニングルームに向かい朝食をとることに…



ギィー……


バタン。



ダイニングルームのテーブルの席に座っている者がいた…


その人は白のフードがついた上着を来て音を全く立てずに食事をしていた…


私は客人が来ることなんて何も聞かされていないが…私が席に座ると彼に問いかける。




「今日は客人が来るという話は聞いていなかったが……君は何者かね?」



白の人物はナイフとフォークを置く…


赤い眼差しを向けると。



それはいずれ解る…肝心なのは君が陥っている状況を理解する方が先だと僕は思うよ。



君は幾度となく歴史を改変してきて君の正しいと思う歴史に上書き……



悲劇が起こらない世界をつくろうとしているけど……



そんな世界はどこにも存在しないのが現実なんだよ。




確かに白の人物が言うことはもっともな話だ…………


いくら私の力でも改変できなかった歴史がある…………


それは……戦争の歴史……




国同士が殺し合い、何万何千もの命が一瞬で消える…残酷な歴史の運命を変えることが出来なかった。




「否定はしないが………君は私の何を知っているのか聞かせて欲しい。」



全てだよ。フォーカス・ヴァンプルギス……



怪異でありながら怪異を殺す怪異………吸血鬼の弱点であるものが一切通じない…歴代のシスターから様々なことを学び今の改変者に至る。



日本での毒ガス事件、イギリスでの飛行機事故………なんだって知ってるさ。




もちろん、アメリカのテロ事件もね。




この白の人物………


改変の影響を受けていないのか?


改変される前の記憶を覚えている者は私とジャック以外存在する筈がない……


しかし………今こうして白の人物が改変前のことを記憶しているのは紛れもない事実……



ならば……




「君は……敵なのか?それとも味方なのか?………聞かせて欲しい。」



その問いに白の人物は考える間もなく答えた……



僕は観察者だ、ただ物語を観察するだけの存在さ。




観察者………



「目的は何なのか聞かせてはくれないか?」




カチッ!



ゴォーン………ゴォーン……



時計の鐘が鳴り響くと白の人物が徐々に半透明になっていく……



「!?」



さて、そろそろ時間だ……最後に1つだけ言っておくけど…




君の物語は間もなく終わりをむかえる……その時になったらまた会いにいくから、その時はよろしく頼むよフォーカス。





時計の針は逆転し白の人物が消えると共に何もかも……





















無になった…



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