オカルト部奇談〜開化の書〜
[強気人](1/11)



人ってこんなにも簡単に死んでもいいのだろうか…





私は……




私を産んで、今まで育ててくれた母に…




殺された………




なら…このまま…楽に……







『ホ……ム…………ラ』





………この声……





『……ホムラ……お……き…て…』





うっすらと歪んだ視界の中…



白い蛇のような影が映っていた…




「…………私」




床は血まみれで、服も血まみれ…



失血死してもおかしくないぐらい…



…生きている実感がわかなかった…



でも生きている…




白蛇………いや



真っ白な少女が目を覗き込むように見る目は……


蛇の睨みにもみえる…



『……かぞく…ホムラ……生きる』



「アイ……」



『……皆…あぶない……黒いノ……皆……死ぬ……』


黒い……あの母さんの姿をした…化け物


アイは何かを知っているような感じだった


それだけじゃない事も知っているようにも思える……













ハァ……ハァ……









最早、足音をたてずに移動するのは不可能


生き残る方法は…




走る



タンタンタンタン!




はしる



タンタンタンタン!




ハシル




人間  


   喰う



「いや、いや!イヤァァァ!!!!」



走らなければ…喰われる



蛙の化け物に……



皆を殺した………化け物に…




足が痛い、脇腹が苦しい、息がきれる



このまま…一人孤独に…

 

喰う

  喰う

     喰う
       
        喰う!!


ビュン!!!!



   ズシャ!!



「え……」



ゲエェェェェ



突然、私の横を何かが通過し


蛙の化け物に突き刺さり


大量の真っ赤な血と共に消滅したのだ…



「なんなの…」


その姿は制服は血まみれで至る所に傷が付き

片手には化け物の血で真っ赤に染まった刀が握られていた


一言で表すなら……



鬼……である




- 21 -

前n[*][#]次n
/163 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]