クールボーイと私と○○
★ 引っ越しの○○(1/12)


旅行から帰ってきて、荷物整理をした後いよいよ引っ越しの日にちとなった。


旅先から送った物は丁度引っ越ししたその日に届くようになっている。大学生になってから住みだしたこの家ともお別れ。


両親は仕事でイギリスに住んでいるため最近連絡も取っていない。引っ越しすることも知らせてないので、またメールでも送ろうと思う。


業者さんが来て荷物を一斉に運び出す

敦子、りこ、真理に連絡をいれる。明後日パーティとなっているのだ。


そこで、旅先で何があったか色々と話さなくてはいけない。きっとりこなんてあの雑誌を見たらびっくりするにきまってる。


次々に業者さんが新しい新居へと荷物を運び入れる。


「これで全部ですか?」

「はい、お疲れ様でした」

さすがに上の方の階なので運ぶのに時間がかかってしまった。
業者さんに、コーヒーを数本買って手渡すと気前の良い笑顔で皆にこりと微笑んで帽子を取りお辞儀をして帰っていった。





さて、荷物を片付けよう。


ピンポンと今丁度例の国際宅急便が来たようだ。


それも全て中身運び入れた後、改めて部屋の大きさに驚く。

1人でこの部屋はあまりにも広い。


42畳もあるリビングと大きなキッチンに、町の外が一望できる大きな窓。

コーディネーターさんにお願いしていた部屋はきちんと照明、家具なにから何まで綺麗にまとまっていた。


ベッドルームも20畳あり大きなキングサイズのベッド。バスルームもかなり広い上に、外の風景が見える。その上サウナ付き。


ゲストルームとは別に3つの余分な部屋。それに、大きな衣装部屋。

猫でも飼おうかなんて思ってしまう。


「荷物整理、荷物整理」


麗は段ボール箱の中から大量の服、鞄、靴を取り出し一つ一つ綺麗に納めていく。




全てが終わる頃にはもう夕方の6時を過ぎていた。


朝から何も食べていないし、だんだんとお腹が空いてきた。


仕方がない。今日は食材もないし外食しよう。

そう決めて、玄関を開け鍵を閉めたとき。


「あれ?新しく引っ越してきた人ですか?」


優しそうな声を聞いて、隣の人を見る。


するとそこには、柏木タクミが笑顔でこちらを見ていた


またもや目を大きくさせてしまう麗に、タクミは頭にはてなマークを浮かべている。


どうやらあちらは気づいていないらしい。


それにしてもこのことをりこが知るとどうなるか。ややこしいったらありゃしない。


自分が芸能人だと言うことも忘れているのかどうかはわからないが、身分を隠すわけでもなく、普通に声をかけてくるタクミの心境はいまいち理解できない。


もし私が変な人だったらどうする気なんだろう。のんきなもんだ。



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