bitter bitter sweet
ビターな関係(1/13)
私の一日は、驚くほど変わり映えしない。
毎日寝て起きて仕事をして、
それが終わったら深夜の下らないお笑い番組を見て少しだけ笑う。
恋人も居なく一人だけれど、それを「つまらない」なんて考えたこともなかった。
だって、それが私の普通、日常だったから。
朝7時、起床。
ぐしゃぐしゃの髪はそのまま後ろで軽く束ねて、洗面所で顔を洗う。
ばしゃばしゃと顔面に冷たい水を浴びせて顔を上げると、鏡越しに素っぴんの自分と目があった。
「萎えるなぁ…」
先日二十七歳を迎えた私。
仕事柄もあり若く見られる事が多いけれど、素肌のままだとそれなりに年齢を感じさせられる。
少しかさつきやすくなった肌に化粧水をたっぷりと塗り込んで、最後に一度、大きな溜め息を吐いた。
「…よし。やるか。」
最近の化粧品て本当に凄いんだよね。
シミもクマも、存在を忘れてしまうくらいに綺麗に消せてしまう。
「…こうやって記憶も消せたら良いのに、」
なんてね。
頭に浮かんだのは、いつもチャラチャラしてるあの人の顔。
「藤、」
そう私を呼ぶあの低い声に、一瞬にして思考は持ってかれる。
あぁ、なんて不毛なんだ。
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