凍える夜明け
[凍える夜明け](1/3)






゛今から、恩田の家いくね゛




さっき佐田から、そうメッセージが来た。




たしか、今日は佐田が付き合っていた奴のとこに行ってたはずだ。



なにもされてねえといいけど。
痣を作って笑っていた佐田のことだから、今回もどうかわからない。




AM2:58




スマホの画面にはそう表示されている。


他の奴等だったら睡眠妨害すんなと冷たくあしらうけど、佐田は特別。




何をされても、諦めたように流されてなにもしなかったアイツが、
傷ついても、終わりにしようと自らの足で進んでいる。



俺は佐田がいいって言うまでずっと待つ。
どんなに長くても、佐田のことは大事にしたいと思ってる。







「………へへ、恩田」







腫れた頬に、赤い目元。
玄関に入ってふにゃ、と笑う佐田は明らかに服が乱れていて首もとには痕があり、乱暴された後だった。





「え、おま、……」



「…話、してきた。ちょっと痛いけど、ちゃんと終わらせたよ、俺。」


にこっと弱々しく頬笑む顔は、頬が腫れていて赤い。




手首を掴んで見ると新しい痣がついていた。
思わずこの細い体を抱き締める。


「いたいよ、恩田」




「ちょっと、じゃねえだろこれ。手当て…しねぇと」


「…ん、」



寝室のベッドに座らせて、救急箱の中から湿布と、塗り薬を取り出す。


佐田は静かに俺の手当てを受けた。



まつげなげえ、な。



「頑張ったな」



髪を撫でて、そのまま抱き締めるとすっぽり収まって佐田は頭を俺の胸に預けた。


「うん」



背中に腕を回してくる佐田。
心臓がドクドクといっているのがわかる。













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