永久の契り
[悲劇のヒロイン](1/25)
夜が明ける前
茜と美姫は屯所の近くを歩いていた
いつもなら1人で買い出しに行くのだが、今日は美姫も手伝うとついてきた。
ある一本道に曲がると
前に人影がある。
茜にはすぐ分かった。
その人は刀を抜いていること
そして、充満している鉄の匂い
確実に誰かを殺している
何度も何度も刀を振りかざす様子に
美姫だって理解したはずだ。
顔が真っ青になっている
手をとり引き返そうとしたときには
相手に気づかれてしまった。
「誰だ?!」
答える隙もなくそいつは美姫に斬りかかっていた。
怯えている美姫は足が動かない。
私は必死に、そいつと美姫の間に入り込んだ。
刀が完全に止まったときには
美姫は気絶しており私が抱き抱える状態になっていた。
本人は気づいていないが腕からは多量の出血がある。
私は慌てず、美姫を道の端に座らせた。
そして振り向けば先ほど殺した人間を未だに刺し続ける化け物がいた。
その返り血が、私の着物を、私の肌を染めていく。
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