永久の契り
[男と女](1/8)
茜の1日は日が昇り始める平成でいうと
朝の5時に始まる。
もちろん起きて彼女が向かう先は
道場だ。
茜がこの宿を選んだのは
お金がないからという理由だけではない。
此処にいれば、泊まり込みしている殆どの人と顔をあわせることになる。
つまり監視のために潜入することは難しい。
そして何よりも、剣が握れる。
もとの時代では毎日欠かさなかった稽古
1日に1回は武道をしていないと彼女自身落ち着かないようだ。
道場に入ると、今日は4人来ていた。
この時代、女が刀を持つことはない。
だから彼女はここの人たちに護身用と説明している。
道場の隅に行くと、素振りを始めた。
こうしていると、未来での生活を思い出す。
ただでさえ、女であるのにそれに加えて小柄だった自分を新しく入った少年たちは邪魔そうに睨んだ。
それが私の負けず嫌いの心に火をつけた。
病気のことなんて忘れて
ひたすら武道に励んだ。
その様子を知っていたのは恭平と師匠である伯父さんだけだろう。
思い出すと自然に竹刀を握っている手に力が増した。
- 63 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
[←戻る]