据え膳食わぬは男の恥
[言わぬが花](1/17)
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仁side


「仁、起きろ」


身体を揺すられて俺は目を開けた。


ぼんやりした視界に現れたハルさん。


「おはよ仁」


オデコにチュウされた。

「ハルさん、はよっございます」


「おいで、抱っこしちゃるから」


そう言われてハルさんに抱き付いた。


ぎゅうって抱き締められて至福の時。


そして、お兄さんと目が合った。


ん?お兄さん?


ドアに寄りかかりこちらを見ているお兄さんの姿。


えーーと、


状況を把握するのに数秒かかった。















ギャーッ


お、俺、裸だよーっ!


ハルさんから離れてシーツをかぶった。


「仁、どした?」


シーツの上からハルさんの手の感触。


「す、すいません、お兄さん居たんですね、忘れてました!俺、裸なんでーっ」


テンパる俺。


目が合ったお兄さんはクスクス笑ってたもん!


「大丈夫だって、全部見られてないって」


「そんな問題じゃないです!服下さい、服」


「はいはい。」


ハルさんは服をベッドに置いて、俺を1人にしてくれた。


服を着て、怖ず怖ずとハルさんとお兄さんの居る部屋へと行った。


「おはようございます」


改めて2人に挨拶をする。


「おはよ仁くん」


お兄さんに微笑まれて、つい、照れてしまう。

だって、ハルさんに甘えた所見られたし、裸も………全部じゃないとはいえっ見られた。


恥ずかしいのは裸じゃなく、裸だった理由を知られてしまっているから。

ハルさんとセックスした事がバレているのが恥ずかしい。


喘ぎ声を聞かれてたしなあ。


「仁、座れよ」


ハルさんに呼ばれて横に座る。


テーブルには朝食が並べられていて、

ハルさんが作ったのかと思いきや、お兄さんだった。


しかも凄く美味しい。


「なあ、ハル、隣の部屋空いてるよな?」


お兄さんの問い掛けに、ハルさんが頷くと、


ちょっとニヤニヤしながら、

「じゃあ、仕事いくから、またね」


と言って帰って行った。


またね。の意味が分かるのは一週間後になる。

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