○閑話・焦熱地獄の獄卒(1/28)
青い暴君の咄
「おまえ、きっとまともには育たないよ」
しとしとと地面に染み込む水のような、静かな声の温度を、憶えている。
「がんばろーな、お互い」
笑いながら、その誰かはいなくなった。
その声が情けなく震えていたのも、憶えている。
目を開いて見渡した世界は、確かに逃げ出したくなるくらいに穢かった。
けど何処に逃げたって、きっと何処も穢いんだと思えば、逃げる気力も湧かなかった。
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