鬼中讃歌
▼鬼影炎上(1/15)



 鬼使いの目を盗んで
 うまく裏庭から出てくると
 グラウンドも校舎もいつもと
 何も変わらなかった。
 今まで見たものが
 全て嘘かと思えるほどに。

 制服に着替え、顔を洗って
 凌氷と教室へ向かって歩いた。

 手を引く凌氷は何も言わない。
 どうしても教室に戻る、と
 つまらない意地を張った俺に
 すぐに音を上げるよ、と
 言ったきりだ。




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