『彼は私にこう言った』
☆[年下彼氏はどうですか?](1/18)
『年下彼氏はどうですか?』
〜第1話〜
「高野ちゃん、これ
コピーお願いねっ」
「はいっ」
スーツを着てバリバリ働く
みんなの憧れ、
松永愛生(マツナガアキ)とは
私のこと。
根っからのA型のせいか
なんでもきっちりしないと
気が済まなくて、
仕事一筋できた私も
気がつけばもう23歳。
高卒から働きはじめたから
もう5年もこの会社に
お世話になっている訳だ。
5時…
「私今日は残業
しないで帰るわね」
「えっ!?愛生さん
帰っちゃうんですか!?
聞きたいことあったのに…」
私より3歳年下の
高野花菜(タカノカナ)は
短大を卒業して今年から
この会社に入った新人で、
私が世話役になっている
かわいい後輩だ。
「どこがわからないの?」
高野ちゃんの机まで
歩いて行き、パソコンを
のぞきこみながら聞く。
「こここれ!
これなんですけどっ」
「これはね〜、
こ‐すると…」
カチッとクリックを押す。
「あぁ〜!
出来ましたぁ」
「ちゃんとわかった?」
「はいっ次は
ばっちりです!
本当にお急ぎのところ
ありがとう
ございましたっ」
高野ちゃんがペコッと
お辞儀するのを見ながら
私は「どういたしまして」
と笑いながら答えた。
特に用事があるわけでも
なく、ただ残業しないで
帰りたかっただけだしね。
「それじゃ、
お疲れさまでした」
「はいっお気をつけて!」
それから少し高野ちゃんと
話したあと、
私は鞄を持って会社を出た。
「うわ‐…雨かぁ…」
そんなに強くないし、
走れば大丈夫かな?
傘を忘れた私は雨の中に
飛び出した。
「ただいま‐…
うわぁびしょ濡れっ」
髪からしたたる
水滴をはらいながら
鍵を開けて玄関に入る。
「あっおかえり、
愛生姉っ」
子犬のようにキラキラした目で
抱き着くこの子は
6歳年下のいとこ、
望月柚(モチヅキユズ)。
いとこだけど
かわいい弟って感じ。
でも、なんでいるの!?
私一人暮らしの
はずなのに!
「愛生姉に会いたくて
来ちゃったっ」
柚は私に抱き着いたまま
かわいい笑顔でそう言った。
うわぁぁぁあ!!!
かっ可愛すぎるよ、柚っ!
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