『彼は私にこう言った』
☆[僕が好きな人](1/12)



『僕が好きな人』
〜第1話〜





どどどどうしたら
いいのか…!


「結城く〜ん、私怖‐い」

「大丈夫。俺がついてる」


俺の名前は
結城千尋(ユウキチヒロ)。
高校2年生。

勉強は嫌いじゃないし
運動もそこそこ。

そんな俺の苦手なものは…


「うぎゃぁぁあぁぁあ」








…心霊ものだ。
幽霊とかお化けとかが
流行る夏という季節は
暑さとともに精神的にも
追い詰められる大嫌いな
季節だ。


今は冬だというのに
なぜお化け屋敷などという
ところでデートをしなければ
ならないのか…



「ゆ…結城くん?大丈夫!?」

「…あ、あぁ大丈夫だ。
何の問題もない。」


俺は眼鏡をなおしながら
冷静を装う。

いかん!
落ち着け、結城千尋っ!
お前はクール眼鏡少年で
通っているだろう!!!



ひやっ

「あぎゃぁぁぁぁあぁあ」

首に冷たくて
ふにゃふにゃした感触。

俺は一目散にゴールを
目指してその場を去った。
逆ナンしてきて名前も
忘れた彼女?は怖いふりを
していただけだし、
大丈夫だろう。

心配そうな言葉とは裏腹に
俺の手をとりどんどん先に
進んでいたし。


「あっれ‐?千尋?」


声がするほうを見ると
俺の唯一の友達、
小野瀬夕(コノセユウ)がいた。
中学からの仲で、なんで
俺なんかの友達やってる
のか謎だ。
人を引き付けるオーラが夕には
あるし、顔もいいから。


知っている顔をみて
安心する俺。
彼女とのデート中か、
うらやましいやつ。



「ここ…お化け屋敷だし…
入ったのか!?」

俺の唯一の弱点を
知っている夕はケラケラ
笑い出す。

「笑うなよ。誰にだって
苦手なものはあるだろ。」

「まぁそうだけど。千尋
のその顔にその弱点は
似合わないってゆ‐か!
んじゃ俺らデートだから
またな、千尋」

まだ笑いながら彼女と
手をつないで歩いていく
のを俺は恨めしげに
見ながら見送った。


…もう帰ろう…


ひとり淋しく帰路を行く。

まだ正午過ぎだし、
今から図書館にでも行って
からかえ…「あの‐」


声をかけられ振り返ると
人はいなくて。

きっ…気のせい…だよな?


「あのぉ!あなたのことが
好きなんですっ」


告白よりも…
目の前に突如ふわっと
現れた少女に驚く。



これが幽霊少女:舞由(マユ)
との出会いだった。







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