『彼は私にこう言った』
☆[逢縁機縁](1/12)




『逢縁機縁』
〜第1話〜




「いっ行ってきま‐すっ」

「鈴音、ご飯は?」

「いらないっ」


寝坊した私は急いで
家を飛び出した。


「うわぁ寒いっ
マフラー持ってくれば
よかったなぁ…」


この前まで暑かったとは
思えない朝のひんやり
とした空気の冷たさに
マフラーを忘れた後悔が募った。



キーンコーン♪

「うわぁ遅刻だぁっ」


もう少しで学校に着く
という時に聞こえてきた
チャイムの音に私はさらに
歩みを速めた。


でも…


「うわ、最悪…
もう閉まってるよ…」


結局間に合わず、
正門ではなく裏門から
入ることになってしまった。


「あぁついてない…
よいしょっ」


私は腕で体を支えながら
門を乗り越えた。


「へぇ、"黒"か。」

「え?」


着地した瞬間に
聞こえてきた低い声。


その声に振り向くと、
金髪の…ちょっとつり目の
かっこいいひとが
私のことを見ていて、
目が合った瞬間
その綺麗な黒い瞳に
くぎ付けになった。


「ふーん。見かけに
よらず、セクシーなんだな」

「なっ!?」


でも次の瞬間我に返る私。


この人、初対面なのに
一体なんなの!?


そう思うと今まで
見とれていた自分が
なんだか悔しくなってきた。


でもこれが私と彼の
出会いだったんだ。







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