『彼は私にこう言った』
☆[神様の願い事](1/13)




『神様の願い事』
〜第1話〜





「うむ。今年も綺麗に
紅葉しおったわ。
おぬしもそう思わぬか?」

「…あの、どちらさま…
ですか?」


あいつは突然
俺の前に現れた。


日課である境内の
掃除をしているときに…。


「おぬし!わらわのことを
知らぬのかっ全く…
まぁ良い、わらわは
美乃(ミノ)。神様じゃぞっ」

「はあ…」


いや、神様って聞いても
現実味なさすぎっ

だいたいすぐに
「はいそうですか」
なんて言えるほうが
すげぇだろっ!


「おぬし、信じて
おらぬな?まぁ人間など
信心深い人もいれば
これっぽっちも信じては
おらぬ人もいるからの。
…がしかし、おぬしは
仮にもこの秋月神社の
一人息子であるというのに
神が聞いて呆れるぞ」


こいつは空中に
浮かびながら
優雅にお茶を飲みつつ、
落語家のように話し始めた。


とにかく、よく
しゃべるやつだ。


よし、この隙に
早く掃除を終わらせて…


「おぬし…
なにをしておる?
そこに正座せい!
わらわがみっちり
しごいてやるわっ」

「はっはい!」




それから俺は神の有り難み
などを美乃から
みっちり語られた。


もうへとへとだよ…
親に怒られた記憶なんて
あんまりないけど
きっとそれより
迫力あったと思う。


「そういえば、おぬし、
下の名はなんという?」

「…梓だけど。」

「うむ。
秋月梓(アキヅキアズサ)か。
良い名じゃのぉ」


美乃はそう言うと
またお茶を飲み出した。


本当にこいつ、
神様なのだろうか?







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