ああ異常
[001](1/9)

絵の具で塗ったように澄んだ空を、春の風が駆け抜けていく。
その風に乗って、天使の羽のように白い雲が流れている。
その下では、弾ける噴水の水が涼しさを振りまいていた。
そしてその周りには、太陽のように明るい笑顔の女の子達。その姿はまるで翼を休める天使のようだ。

そこはそう、−天国。

そんな景色を見ていると、今がいつ世界中を巻き込んだ戦争が始まってもおかしくないくらい荒んだ時代であるということを 忘れてしまう。
思えば、そんな時代に生まれた僕は色々な苦労をしてきた。親は僕が八歳のに戦場で死に、それ以来年の離れた姉に育てられたり…。
それでも何とかこうして今日、僕は高校二年生の始業式を終えたばかりなのだが−

いや、そんなことはどうでも良い。



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