鈍色の交錯
[光2](1/9)
光side
篠村さんに橘さんの店に行けと言われて1週間。
そもそも店の場所知らへんし。
せやのにこい、なんて無理な話。
って気持ちとめんどくさくて別に行きたくもないって気持ちが混ざって行ってない。
夜の散歩をしても橘さんはおろか篠村さんにも会わない。
昼間歩いても会わない。
今までがたまたま会いすぎていただけ。
そんなもんやな、人生は。
「お兄さーん、ちょっと金貸して貰えません?」
金髪に染めた男の子たち。
きっと高校生で夏休みで浮かれて髪を染めてる子ら。
そんなまっ金金にしてたら将来ハゲてもしらんよ。
中にはブリーチしただけのようなオレンジっぽい子もいる。
若いってええね。
「あいにく持ち合わせてへんねん」
「そんなこと言わずに1000円でいいんで」
「ほんなら倍にして返してや」
大阪にいた時もあったからせこいのも少し身についてる。
ずっと大阪育ちだったならもっとケチで渡したりはしなかったんやろな。
財布を出して中身を確認すると1584円しかない。
財布をひっくり返して、リーダーっぽい子に渡す。
「これで全部やで。
大きなお金が欲しいんやったら1週間くらいバイトすれば、諭吉さんぐらいはもろえると思うで」
金は自分への対価やと思う。
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