鈍色の交錯
[はる](1/17)
はるside
まだ結局私は死ねていない。
踏切に入る勇気がまだない。
小桜さんと橘さんに初めて会った日から何度も踏切に入ろうとしたのに足が動かなくて電車が目の前を通過しただけ。
リスカをしようとカッターを手に持ってもいざとなったらカッターを動かせない。
死ぬならどうにでもなってしまえ、って車を運転してる時に赤信号に突っ込もうかと思っても脳はちゃんと危険を感じて足にブレーキ踏むように命令を送る。
そしてちゃんと止まる。
首吊りをしようと紐を結んでも結局首はつっこめない。
死にたいくせに死ねない。
死にたい気持ちはあるのに脳がストップをかける。
いっそ後ろから誰か一思いに刺してくれないか。
電車が通る踏切の前で背中を押してくれないか。
紐で首を絞めてくれないか。
サスペンスドラマみたいに石で殴ってくれないか。
死にたいのに死ねず、死にたいのに行動できない私を殺してくれ。
私のことが嫌いなお局様、私を轢き殺してくれないか。
もう生きるのがうんざりだ。
そう思うくせに毎日3食しっかり食べてちゃんと寝て生命維持の生活をしてしまう。
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