お題詩


私は今 かざしたはずの両手が見えずに (1/1)




人は一人では立ち上がれない

激しく吹く嵐の中、家は補強しなきゃ立っていられない
星は、月が安心できるように光ってくれなきゃ一緒に輝けない
雲は、冷たい空気が地球の中でつくられなきゃ漂うことが出来ない


私は一度だけ、深夜家を出た時激しく、早く流れる黒い雲を見た



神秘的な反面、虚しくなる空を急いで流れてゆく雲は
黒くて冷たい色をしていた
泊まりがけで
友達と二人で、窓から抜け出して駅で見かけた雲

「なんて冷たい色をしているんだろう」

私が呟いた

「だけど、いいものが見られたね」

友達が上を向きながら呟いた
私達は、素足で道路を走り
深夜の2時に再び家に帰った
二人で見た一度で一生の黒い雲
まるで奇跡を目の前でみたような感動を胸に
私達は二人きりの秘密をつくって
眼を閉じた




それとは引き換えに

太陽が眩しくて

それとは引き換えに

私は闇の人間だった



深夜の光りを求めて

私は歩いた

あの時の黒い雲を求めて・・・・




私は今、かざしたはずの両手が見えずに

その先の闇を探していたんだ

「また、見つけに行こうか」



また、家を脱走しようか




黒くて急ぐ雲を探しに外へ行こう・・・・・


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