好きな人から監禁をされた、
プロローグ(1/1)
思えば、彼と私は似ていたのかもしれない
新しい高校に入学して、新しい環境に徐々に馴染んでいくようになった頃
一目見て、彼の雰囲気は他と違っていると感じた。
表情の作り方
他の人間との馴れ合い方
うまく周りに溶け込んでいるように見えて、ーーー目だけが、どろりと黒く淀んでいた。
彼は人気者だった。
大抵の場合、彼は皆の言うことに従って口を挟んだりもしない人間だったけど、
彼が発言すれば、それに皆耳を傾けた。
…彼は、上手だった。
人との距離の置き方
自分へ関心を向けさせないように、
けれど不自然にならぬように、
敵を作らぬように、
皆と同じであるように、
その胸の内を悟られぬように、
上手に自分を隠していた。
その胸の中に隠しているものに、
私が触れることになるなんて、
考えても、いなかったーーーー。
1 前n[*]|[#]次n
栞
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
戻る