不本意ですが付き合ってあげます
[隣](1/4)
初めて会った時、泣いていた僕を抱きしめてくれたその姿は正義のヒーローだと、幼いながらにとても感動したのをつい最近のように覚えている。
体が弱く、女の子みたいな容姿のせいで小さい頃は女だ女だとからかわれた。皆僕を女扱い。僕は男なのに、一人枠の外に追い出されたようで悲しかった。
あの鶴でさえも、最初は僕のことを女だと勘違いしていた。
でも、だからって鶴の態度が変わることは一度も無かった。
凄く無口で無愛想で。周りの子達とは違い大人びていて、僕といる時だけは笑顔を見せてくれて。
一度僕から距離を置くようになった。中学に入った時だ。理由も話してくれず、ずっとやっていたであろう音楽に浸かって行った。
そして、気づいたらまた隣にいた。
鶴とは仲のいい友達、親友、幼馴染。なのに僕は鶴のことを何一つ知らない。自分から話してくれない。
悩みがあれば助けてあげたい。一緒に悲しんであげたい。なのに鶴はいっつも僕を優先する。
こんなの、親友だなんて言わない。
- 66 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
[←戻る]