ガチャ、と静かに扉の閉まる音がして。
なぜか真っ直ぐに時雨の家の、懐かしい時雨の部屋へと連れてこられた。
家具とかは何も変わっていないようだけど、本棚の中とか机の上のものが変わっている。
きょろきょろと周りを見ていると、するりと手が解ける。
カラオケ店から、20分ほど。
ずっと無言だった時雨はようやく深く息を吐いて、ベッドに腰掛けた。
「あの、時雨?」
やけに静かな家。
静かな部屋に、なぜか震えた声が溶けて消えていく。
緊張と、焦りと、不安。
様々なものが混じりこんだそれに、時雨はゆっくりと顔を上げた。
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