白と雪
[虚像](1/5)




試着室も

その辺のショッピングモールとは違う。

しっかりとしてる。

一つ一つの壁が厚くて
ドールハウスのようなメルヘン感が漂う。


見とれている場合じゃない。

雪ちゃん、急いでたから
早く着替えよう。


やわらかい造花がたくさん付いていて
胸下に大きなリボン。

揺れるパールと、キラキラ光るスパンコール。


見れば見るほどゴージャスにできていて
確かにこれは人気がでそう。

お姫様みたい。


全身鏡を見ていたら、ドアをノックされる。


「亜美ちゃん」

雪ちゃんの声。

「えっもう!?」
「うん、早く来て」
「待っ……て、もう少し」

ファスナーを上げて、

ひと回り。


多分、大丈夫。
これで完成。


「おまたせ!ごめんね雪ちゃ」


ドアを開けたら

「え」

制服姿のままの雪ちゃんがいた。




- 105 -

前n[*][#]次n
/251 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]