白と雪
[規則](1/7)



強い耳鳴り。

手を掴まれたと思う。


上か下か右か左か

歩いたと思う。


ぼやけた視界に白い色。


「息吐いて」


誰かの声が鮮明に聞こえる。


「吸って」


頭の中のもやもやが
少しずつ消えていく。


「吐いて」

「吸って」


繰り返し



…………あ」


保健室のベッド。


どうしてここに……



佳奈


「佳奈、佳奈」

「なに」


手元に寝転がっていた。


……良かった……

「焦りすぎ」


抱き上げて、膝に乗せて
一緒に窓の外を見た。


「どうしてここにいるのだろう」

「覚えてない?」

「覚えてないというか、」


何が起こったのか。


グラウンドには、体育の授業らしい、生徒がソフトボールをやっている。

ソフトボール、懐かしい。

私も授業でやった。

佳奈とキャッチボールをした。



「俊介が心配して
雪を連れてきた」

…………そうなんだ。
俊介は?」

「授業受けてる」


今は何の授業だろう。

時間割今日、何だったかな。


「俊介は」

「何?」


佳奈を見下ろす。


「危険だと思う」

「きけん?俊介が?」

「雪を病院に連れて行くかも」

「佳奈、俊介が怖いの?」

…………


無言。

肯定ということだろう。


「わかった。
俊介のことは避ける」

「ありがとう」


上半身を倒す。


「かたい」




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