白と雪
[時間](1/5)
「雪ちゃん」
佳奈のお葬式は親族だけで行われた。
でも
私だけ特別に参加を許された。
学校のみんなが作ったメッセージカードを持っていった。
私も何か書いた気がする。
「佳奈は……」
まるで水の中にいるような感覚が続いている。
視界はほとんどぼやけているし
音もくぐもっていて
踏む地面はぐにゃぐにゃとした感覚。
導かれた棺桶。
体はどうにもできなかったけど
顔だけはきれいにできたという話を聞いた。
「雪ちゃん来てくれたよ」
たった少しの間話してなかっただけなのに
すごく久しぶりに会う気がした。
佳奈。
「佳奈、」
時が止まったような感覚。
やけにクリアだった。
佳奈の顔。
息、してない。
目が開かない。
肌がつるりとしていて
人形みたい。
生きてない。
「佳奈」
これは、
私と違うものだ。
「か」
佳奈は
「な」
どこ
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