「っにしてんだ!!バカやろう!!!!」
「は!?」
哲也がここまで怒るのは珍しいというのと、胸ぐらを捕まれてる乱暴さに驚きを隠せない藍里は、思わず声をあげた。
それでも、哲也は容赦なかった………。
「バカっつってんだ!!
バカ!!
バカ!!
大バカ野郎!!
真相を黙ってる探偵がどこにいる!?
自分も復讐がしたいがために、黙ってる探偵がどこにいるってんだよ!?
どんなに辛いことされても、そいつが濡れ衣着せられていい理由なんてないだろ!!
探偵なら、そこんとこわからなくてどうする!!
犯人の手助けなんかすんな!!
過去にとらわれんな!!
こんの、推理オタクバカっ!!!」
そこまで言わなくてもよくない!?
と、普段の藍里なら言っていた。
ところが、今は状況が状況なだけに、ただただポカンとしているだけであった。
激しく怒ったせいでか、目を見開き、肩で息をする哲ら也。
やがて、大きく深呼吸をすると頭を垂れて、祈るようにさらに続けた。
「……思い出してみろよ………高校卒業したときに………お前が探偵事務所を開くと言った時……理由聞いたら、お前は
お前のお袋が…!死んだお袋が言うように、
弱い立場になった人を助けたい
からって言ってただろうが!!」
その言葉に、藍里の頭の中に稲妻が走った…。
(そうだ………母さんのあの言葉………なぜ今の今まで忘れていたのだろうか…。)