森野探偵事務所物語【改】〜短編集〜
[●因果応報〜後編〜](1/18)

「っにしてんだ!!バカやろう!!!!」

「は!?」


哲也がここまで怒るのは珍しいというのと、胸ぐらを捕まれてる乱暴さに驚きを隠せない藍里は、思わず声をあげた。

それでも、哲也は容赦なかった………。



「バカっつってんだ!!

バカ!!

バカ!!

大バカ野郎!!

真相を黙ってる探偵がどこにいる!?
自分も復讐がしたいがために、黙ってる探偵がどこにいるってんだよ!?

どんなに辛いことされても、そいつが濡れ衣着せられていい理由なんてないだろ!!

探偵なら、そこんとこわからなくてどうする!!

犯人の手助けなんかすんな!!
過去にとらわれんな!!

こんの、推理オタクバカっ!!!」


そこまで言わなくてもよくない!?

と、普段の藍里なら言っていた。
ところが、今は状況が状況なだけに、ただただポカンとしているだけであった。
激しく怒ったせいでか、目を見開き、肩で息をする哲ら也。
やがて、大きく深呼吸をすると頭を垂れて、祈るようにさらに続けた。


「……思い出してみろよ………高校卒業したときに………お前が探偵事務所を開くと言った時……理由聞いたら、お前は

お前のお袋が…!死んだお袋が言うように、

弱い立場になった人を助けたい

からって言ってただろうが!!」






その言葉に、藍里の頭の中に稲妻が走った…。




(そうだ………母さんのあの言葉………なぜ今の今まで忘れていたのだろうか…。)







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