森野探偵事務所物語【改】〜短編集〜
[●因縁〜下〜](1/8)

藍里は、健二とマンカラをすることもなく、そのままアパートを飛び出して、警察署に向かっていた。








「本当は禁止だが、おまえの名前を出して特別に見せてもらえることになった。全く……何を考えて重本家強盗殺人事件の資料を見るんだろうな…?」


笠村が、舌打ちをしながら渋々と茶封筒を持ってきてくれた。

「ありがとうございます!」


藍里は、それを大事そうに受け取ると、封を解いて中の物を取り出した。


重本が殺された様子と現場の写真を交互に見合わせる。



「…凶器は包丁…らしきもの…?」


「秘書の寿が話をでかくして、包丁と決めつけられてんだ。正確には、らしきものだ。包丁と確定した訳じゃない。」


笠村の言葉に、頷く藍里。


(それなら………やっぱりもしかしたらこの事件……!)


「あ!そういやぁ、噂じゃアイツ、病気持ちだとか言われてたぞ?」


藍里の思考を遮るかのように笠村が思い出して答えた。

「病気?どこか悪かったんですか?」

「さぁな。ただ、現場にあったこの手帳……この中に………ここだ!」

パラパラと証拠品である手帳を捲る笠村は、とある月を見せてやる。

殺される二週間前に、赤字で『検査』と下の余白部分に『手術』書かれていた。
ただ、それしかかかれていなかったから、何の検査かまではわからない…。


「病院もわからない状態か……重本さんの家を調べたら何かわかるかも…?」









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