飢愛の彼




愛>>>>>その他 (1/8)





【千影side】

聖の白く綺麗な肌が、俺の手によって
青白く、冷たく、赤くなっていき
込み上げる高揚を隠せない。

完全に息途絶えた彼女の、開きっぱなしの瞼を優しく閉ざしてやる。すると聖が微笑んだように見えた。

「綺麗だ……、聖…」

やっと手に入れた、俺だけの聖。
目を閉じて脳裏に思い出すのは
聖の恐怖に歪んだ顔、聖の血を見て怯えた顔、聖の精神から崩壊した悲痛な顔。ああああああ聖聖聖聖聖ひじ、聖、ヒジリ聖聖聖聖、聖ひ聖聖ひ聖聖聖!聖聖ヒジリ、聖聖聖聖聖聖聖ひじりひジり聖聖聖聖聖!!!!!!


「ヒジリ」


――――どうして君は
死んでもそんなに美しいんだ。

元から白い肌はさらに青白く
染まり、胸から溢れる鮮血との
コントラストが輝いて見える。

前髪にへばり付く
汗で濡れた髪すら愛しい。
閉じた瞼から頬に伸びる
長い睫毛。綺麗な曲線を描く頬。

目の前に横たわる自分だけの美しい死体に、欲望が目覚めるのが分かった。

「あぁ…、聖…」

… ペロ
と、ヘソの辺りを一舐めすると、冷たい汗と柔らかい血の味がして止まらずにもう一舐めする。

しばらく聖の体を堪能した後、
ふと思い出した。


「ああごめん…聖
俺も今、逝くから…」

今ごろ、一人ぼっちで
淋しがっていることだろう。

彼女の体に刺さっていた
ナイフを抜き取ると
鮮血が俺の体を濡らす。
それにすら綺麗だと感じて
息が荒くなった。


そして、思いっきり
胸の中心に刃物を突き刺した。

「………っは、」
痛みは無い。早く聖の元に…
逝かなければ…

そして、それをまた引き抜く。
水まきしたような鮮血が溢れだし
部屋中に散らばっていく。

抜いたナイフをベットから
放り投げた。

このベットには俺と
聖以外の侵入は許さない。

体を聖の方に倒す。
冷たい体の感触に、安心した。
「ああ…、今…いく、ね…」

聖の指を探り、
恋人のように絡める。

カランと金属音が部屋に
響いたのを聞きながら思った。

――これで完璧に
彼女の愛を手に入れた…


満足感と高ぶる性欲しか、
そこには存在しなかった。






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