早瀬くんは余裕がないらしい。
柚希ちゃん、ピンチです。(1/5)
柚希と付き合ってもうすぐ5ヶ月。
そんな幸せ絶頂な俺にも悩みがある。
それは最近柚希が妙にモテること。
それで、良く言えば優しい、悪く言えば押しに弱い柚希は毎回微妙な返事をしてしまうわけで、男は一度じゃ諦めない。
「あのね、早瀬くん…あたし今日田村くんと帰ることになっちゃった」
ほら、来た。
これで俺以外の男と二人きりで帰んのはもう5回目くらいか?
「……へー、二人きりで?」
「………うん、まあ…
あっ、でも一緒に帰るだけだよ?」
「ふーん。てかそれ以外に何するって言うの?」
オロオロする柚希に俺はわざと冷たくそう言った。
「………ごめんねっ…。
明日は一緒に帰ろうね?」
「んー、どうしよっかなあ」
そう言うと柚希は、悲しい顔をして俺を見つめてきた。
それが可愛いから、またいじりたくなるんだよ、ばか。
そうしているうちにチャイムが鳴って、7限目が始まってしまい、ここで俺たちの会話は止まってしまった。
シュン、としながら席に戻っていく柚希を見ながら俺はちょっと後悔してた。
田村に関して、あんまり良い噂を聞いたことがない。
ちょっとチャラいし、遊び人なタイプだし。
「止めとけばよかったかな」
そうは思ったものの、別に柚希は俺に秘密で田村と帰るわけじゃないし、やましいことなんか柚希の方にはないわけで。
それを止めるのもどうかと思うし、とりあえず何も言わないでおこうと決めた。
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