愛しい君を殺したのは誰?
[静かな告白](1/8)
今、ハッキリ奏の声が聞こえた。
この暗いジメジメした檻の中には、僕しかいないはずなのに…
『隼人…大きくなっても、ずっと私の王子様でいてね』
奏…
優しい声だ…
目を閉じると、綺麗な夕焼けを見ながら絵本を開く僕らがいる。
すぐそこに、手に取れそうなくらいリアルに…
2人とも笑ってる。
『奏の王子様になる』
僕は、元気に答える。
小学校3年生の頃だ…
思い出すと、胸が熱くなった。
気がついたらスーッと、涙が頬を伝っていた。
心の奥に隠してた秘密の小箱の蓋が、一気に開いた気がした。
奏への想いは、もう飛び出して無くなっていたけど、でもまだその奥にも、秘密が押し込まれていたんだ…
僕は、唇を噛み締めた。
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