「あ、ごめん、真希、ちょっと待って……」
「え? なに?」
歩き出していた足を止め、バッグからスマホを取り出して慧からのメッセージを見た。
「……慧ってば」
「結衣?」
独り言のようにつぶやいたあたしを真希は不思議そうに見ている。
本当、
ずるいんだから。
慧から届いたメッセージにはシンプルに
ただ結衣を
抱きしめたいだけだ
そう記されていて。
それが本当か嘘かなんて、あたしにはわからない。
だけど、慧に思いっきり抱きしめて欲しいって思った。
しかたないなぁ。
慧の家に行ってあげる(*^▽^*)
なんて、気を良くしたあたしはすぐさま、そんなメッセージを送っていた。
あぁ。あたしってバカだ。
あの野獣な慧があたしを抱きしめるだけ……で済むはずがない。
それはわかってるのに。
彼の温もりを求めているのは、あたしも同じだった――…。