草食系野獣カレシ
Ep:04 ロールキャベツ系男子?(2/12)
さっきまではバカ男のせいで、それなりに修羅場だったはずのこの場所。
でも今はあたしと名前も知らない草食系男子の彼以外の姿はない。
賑やかな学生たちの声も届かず、静まり返っている。
本当に、静か。
冷静に考えれば、こんな場所に彼がいたことの方が驚きで。
だからこそ、さっきは奇跡的に通りかかった彼の腕を咄嗟に掴んじゃったわけなんだけど。
まさか、そんな彼があたしの話に合わせてくれるなんて思わなくて。
それに、暴力男の大翔からも庇ってくれた。
か弱い乙女的に誰かに守られるのって久々で、ちょっと不思議な気分だった。
あぁ。ダメだ。
誰かに守ってもらおうなんて考えを持ったら、ダメ。
自分は自分で守らなくちゃ。
まあ、この草食系男子の彼は体を張ってまで守ってくれるタイプの男ではなさそうだけどね。
さっきのアレは、たまたまかもしれないし、単に大翔が弱かっただけかもしれない。
守られることの安心感をあたしに与えてくれていたのは、幼い頃からそばにいてくれた彼だけだ。
でも正直、体を張ってまで守られることは窮屈。
高校時代のあたしがそうだったみたいに。
あたしはもう籠の鳥になんてなるつもりはない。
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