空っぽの

出会う(1/8)




季節は冬。




その日はいつもより会社から出るのが遅かった。




僕はデートの約束をしていた。




携帯電話をみると、彼女からの催促のメールや電話が沢山掛かっていた。




僕は近くでタクシーを拾い、乗り込むとその中で彼女に電話を掛けた。




「もしもし。」




「ごめんって、仕方ないだろ。」




「えっ!?」




「わかった…」




僕は電話を終えた。




『お客様、どちらまで行かれます?』




「あっ、すみません。乗ったところ悪いのですが、降ります。」




僕はタクシーの運転手にそう告げると、ドアを開け足早にその場を去った。




冷たい夜風が今の僕をより一層冷たくさせた。


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