泣けない子供たち
℃ヒビ。(1/46)
コウキside
終業式は滞りなく行われた。
「じゃあ成績表配るぞー」
榊先生が壇上で声を張る。
「……〜、……〜、松下コウキ」
はーいと返事をしながら先生のところへ行く。
「想像通り完璧な成績だ。中間期末も学年トップ。先生方、みんな褒めてたぞ」
「ありがとうございます」
「……バイト増やしても成績落とさないように頑張れよ」
「はい」
「次!三田!三田ユウスケ!お前は体育だけはいいんだよなぁ……」
先生は一度も俺を見なかった。
俺と先生は今も恋人同士なのだろうか。
家の鍵を返せと言われたことはない。
けれど普通、恋人ならクリスマスの予定を気にするものなんじゃないだろうかーー。
でも俺は、予定を聞かれなかったことに安堵していた。
最低だ、と思わず自嘲した。
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