泣けない子供たち
℃初めての夜。(1/6)


「ヨウコー!」
お風呂から呼ぶ声がして私はグラスを片手にお風呂に向かう。

「どうしたの?」
すりガラス越しに見えるシルエット。

「コンディショナーって何?」
「……」
そうだった 忘れていた。

お風呂に入らせてもらえていないんだった。


………。

「ヨウコ?」

まぁいいか もう一度見てるんだし。


ガラッとドアを開ける。

「ウオウッ!」

「これがシャンプー。洗い流した後に このコンディショナー。これがボディーソープでこれが洗顔フォーム。洗顔フォームは このネットで泡立ててから使いなさい。わかった?」
「完璧。ありがとう」

「じゃ、ごゆっくり」
浴室を出ようと振り返ったとき、コウキの身体が目に入った。
思わず体の回転が止まる。

「よ、ヨウコ?」
私が見ているのは上半身。
もちろん。

「痛そう」
「……」
至る所にアザ、アザ、アザーーー。

「……大丈夫だよ。あの人たち、殴ることはあっても残るような傷をつけることはなかったんだ」
どうして優しく笑えるの。
なんでそんな顔できるの。





ねぇ、だってそれって、
コウキの為じゃないでしょうーー?



「お風呂上がったら 湿布貼ってあげるから」


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