浮気するのは君のせい
sin.02 侵食(1/11)
*
そもそも。
私が琉衣を好きになったきっかけなんて、ちっぽけなものだった。
見た目が好みだったとか、雰囲気が好みだったとか、本当に上辺だけのものでしかなかった。
それがいつから、こんなに愛しく感じるようになってしまったのかは、自分でもよくわからない。
ただ、だんだんと。純粋な好きの気持ちが、何か他の別のようなものに変わってきてしまっているのは、わかっていた。
けれど、どうしようもなくて。
好きだ、好きだ、好きだ、そうおもえば思うほど、琉衣に溺れていく自分がいた。
「未央、こっちにおいで」
琉衣にそう言われると、まるで魔法にかけられたみたいに身体がふわふわとしてくる。
家に着いた瞬間、怪しい笑みを浮かべながら、琉衣が私を呼び寄せた。
「琉衣」
「あ、未央に名前呼ばれるの、結構好きかも」
琉衣の口から、好きという言葉が出ただけで、心臓がドクドクと音をたて始める。
勘違いしちゃいけない、と必死で自分に言い聞かせた。
「本当?」
「うん。すごくいい」
「ふふ、そっか。……琉衣」
ぎゅっと抱きつく。
琉衣は私を抱きしめ返すことはせず、代わりにぽんぽんと頭を撫でてくれた。
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