地味子ロック
夏休み3(1/11)






花火から帰ったらすぐに寝た。


カエデ君が察していた通り、疲れていたみたい。




朝目が覚めると、バンドのグループラインに通知がたくさんきていて、

リョウ君コハルちゃんヒナタ君ヒカリちゃんの写真とか、

大きな花火の写真がたくさん送られてきていた。


あと、『来年こそみんなで行こう』という言葉。



楽しそうなみんなの笑顔の写真は、なんだか見ていて心地良いものではなかった。

なんでだろう。

なんだろうこの気持ち。


でも、写真1枚も撮ってないカエデ君との時間を思い出したら、

そのよくわからない気持ちはスッと消えていった。



身体の調子は本当に良くなった。



残りのお盆休み週間はバンド練習をしたり、もう一度マナちゃん達と遊んだりした。


バンドの方は予選のときよりももっとみんなの息が合ってきていて、

細かい修整や少しずつ表現も深くしていくように練習していった。


花火の日は優しさマックスだったカエデ君はどこに行った
のか、

「ミズキそこズレてる」「ヒカリチューニング合ってない」「ヒナタひずませすぎ」「リョウ音程なんか違う」「コハル音小さい」

等々メンバー全員にビシバシ指摘をしてきて、

私の元々のイメージのカエデ君だった。


逆に「カエデ君そこリズムズレてない?」と言うと

「悪い、もっかい合わせれる?」とあっさり謝るところは、

まっすぐしたカエデ君らしかった。



リョウ君とは2人きりで話す機会はなかった。


ラインはしているけど、なんとなくリョウ君の返事が遅い。

そこに感じる不安をかき消すように、ギターを練習した。



勉強もしないといけないのに。


頭の中ではわかっているけど、なかなか集中できなくて、音楽に逃げた。




そうしてお盆休みは明けていき、


久々に学際準備のために学校に行くと、

休みの期間にクラス企画代表の4人が作ってくれた台本が渡された。


誰がどのセリフを言うか、歌うか細かく書いてあり、すごいなぁと読み進めていく。



「えっと………え?」



自分の顔から笑みが消えていくのがわかった。





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